インターホンが鳴るので、出てみるとY売新聞の販売店。
ジャイアンツの懸賞のご応募ありがとうございます。当選品をお持ちしましたと。
なんのこと?
なんでも息子が応募したのが当選したんだと。
通してしまった。
最近急に野球好きになった息子が、応募したのは本当だった。
当選品というのは、ジャビット君が入ったボックスティッシュに過ぎない。
まあ、ありがとうございますともらっておいた。なんのことだかわからないけどとも断って。
あとで思ったのだが、ただの新聞販促ツールであり、再下等の当選品ですらなかった気がするが。
販売店の男は、以前Y売新聞お取りいただいていてありがとうございますと。
いや、取ったことないですよと私。
あとで考えたら、2週間だけY売中学生新聞を購読したことがあった。息子がつまらんと言うのですぐやめたのだが。
その際も、インターホンを鳴らされ、また取ってもらえませんかと言われたっけか。
今はなに購読されてますかと男が訊く。
日経です。
今キャンペーンやってまして、野球お好きだったら東京ドームの指定席、ペアで差し上げられますが。
畳み掛けてこられたので、賢いつもりの私も混乱し、しかも混乱に自分で気づいていなかった。
こうして人は詐欺に遭う。
はあ、チケットですか。ありがとうございます。
8月11日から13日のどれかを差し上げられます。
じゃ、11日で。
敵も巧妙である。野球のチケットを差し上げるが、新聞取ってくれとはまだ言っていないのだ。
今キャンペーンやってまして。短期間でいいんです、Y売新聞取ってくだされば。日経の方は、その期間こちらで止めておけますので。
さすがにもう気づいた。新聞を取らせることが目的であることに。当たり前だけど。
これは個人情報の悪用である。勧誘の手段としてはよろしくはない。
ちなみに新聞はめっきり読まなくなった。新聞読まなくたって、世間のことは知っている。
家内が日経好きなので取っているのである。
さすがに家内に黙ってY売に替えたりしない。それに、Y売のニイチャンが勝手に日経のほうを止めるというのもなんだか。
なので、相談しないわけにはいかないと拒絶した。
野球は観たくないわけじゃないが、チケットは今回はいらないと。
そうしたら、騒ぎを聞きつけて玄関に家内も登場。選手交代。
家内がY売でいいやというなら、私がどうこういう気はないし。
どういう話になったのか、家内が居間に戻った私に言う。「お米とビールどっちがいい?」
居間に戻ったので正常になった私は、「どっちもいらない。チケットもY売新聞もいらない」
家内も、男の話術に混乱したのだろう。
日経をそのまま、2紙めを取り、しかしものをもらって損しないという判断になってしまったようだ。
本当に冷静に考えたときは、1〜3か月程度Y売新聞を取って日経は休止し、巨人・阪神戦のペア指定券がもらえ、さらに米かビールがもらえるなら、黒字になると言えなくはない。
ポイ活の一環と考えたら、決して悪くない。私の専門分野。
だが、最近では珍しい、こんなやり口に嫌気がさした。
というわけで、お引き取り願いました。
オートロックのマンションで、こんな手法に出くわしたのは初めてだ。
だが、個人情報悪用のやり口だが、不快にまで思ったわけでもない。熱心なことだと感心もした。
今になって、時系列を整理したうえで、その巧妙さに改めて腹を立て直しているものの、商売としての感心はなお続いている。
相手を喜ばせられているのなら、少々詐欺っぽくても目くじらを立てるほどでもあるまい。ただ、カモになるのは嫌だ。
しかし、会社を辞めて久しく、交渉ごとから遠ざかった私、この数分のやり取りでもってくたびれ果てた。
1日ダメージが残った。
野球は、行きたいときにはチケットを買って行ったらよろしい。そもそも巨人ファンじゃないし。
ともかくこうして、ネタのないブログのネタにしました。