おかげさまで年末年始、アメックスについてまとまった仕事をもらい、1月前半はこれに注力していた。
プロパーアメックスは1枚も持っていない。この点条件はよくないのだが、調べて執筆する。今までまったく書いていないわけでもないし。
持っているカードなら、実体験に即したお得情報を載せられるというのはある。
Web上に似た記事が一切ない状態で、お得情報を載せられれば鼻が高いのだが、この点は仕方ない。
とにかく20件以上の記事を何とか納品した。すっかりアメックスについては詳しくなったのは大きなメリット。
オリコのカードもかつて続けて納品したため、すっかり詳しくなった。欲しくなったが、まだ持ってない。
おすすめ記事を書く以上、おすすめ商品については愛情があったほうがいい。
頼まれた記事に、デメリットを一切書いていけないわけではない。悪いことも書かないと信用に欠ける。
だが最終的には広告をクリックしてもらわないと価値がない。
ところでそれだけ記事を執筆しても、私にはアメックスに対する愛情がまったく湧いてこない。調べれば調べるほど、このカードを持ちたいとは思わなくなってしまうのだ。
ここで本音を吐いても、別にバチは当たらないと思う。
今日は、クレジットカードライター与太郎が、アメックスに関する世間のあこがれをぶち壊す特集である。
なお、ここでいうアメックスとは、プロパーカードのこと。アメックス本体が発行しているカードである。
セゾン・アメックスや、三菱UFJのアメックスは対象外。
ただし、国際ブランドとしてのアメックスについて触れている部分(どこで使えるか)のデメリットは、これらのカードにも共通する。
アメックスはステータスがある?
そもそもステータスってなにさ?
確かに、海外ホテルなどでチェックイン時にアメックスを出すと、扱いが違うなんて話は聞く。
もっとも、ちゃんとしたホテルが、カードによって扱いを変えるなんておかしな話だが。
なかなか審査に通らないのがアメックス。だから価値が高いって?
これはウソ。
アメックスは確かに、年収を重視した審査をする。ステータスにつながりそう。
だが、個人信用情報が滞納等で汚れ切った人であっても、年収があれば審査に通してしまうのがアメックスの正体。
あらゆるカードの審査に落ちて、しかしアメックスだけ審査に通るというのは、クレジットカードあるあるのひとつ。
そして、基本のカードであるグリーンも、ゴールドも特に審査の中身は変わらないようである。
年会費を支払う資力があれば、わりと審査に通ってしまうのである。
アメックスは海外で強い?
これは、はっきり言って嘘。VISAかMastercardなしで渡航するのは危険である。
USAから国境を越えて、カナダに渡っただけで、アメックスはたちまち利用店舗が激減するらしい。
ツイッターで「カナダ アメックス」で検索してみてください。
オーストラリアもダメだそうだ。
アメックスが一番問題なく使える国は、日本である。日本では、もっとも強いJCBと提携しているから。JCBのステッカーの貼られた店なら、通ることが多い。
ただし日本でも、アメックスのロゴが出ていないECサイトでは、不可のところが多い。
アメックスは海外旅行傷害保険が充実している?
まあ、イメージからしたらそうだろう。
実際は、主要カード中、もっとも悪いと言ってもいいのではないか。
一般的なゴールドカードより高い年会費を取るアメックスグリーンの、現地で治療を受ける際の費用上限はわずか100万円。
ゴールドだったら、200万円はないと。
これがアメックスゴールドなら、300万円の補償があるので悪くない。家族特約も200万円付いている。
だがアメックスゴールドは、年会費的にはプラチナカードである。そのぐらいは充実していてくれて、当たり前。
アメックスの海外旅行傷害保険でよくないのは、利用付帯であること。事前に旅行代金をカード決済しておく必要があるのだ。
アメックスゴールドであっても、フル補償のためにはこれが必要。
利用付帯といってもいろいろある。多くのカードでは、出発空港までの電車・バス代をカード決済しておくだけでも保険が適用になる。楽天カードなど。
だが、アメックスは、航空代金かツアー代金を支払わないといけない。
アメックスのポイントプログラムは充実している?
こう誤解する人が、そもそもいるのかどうかは知らない。
ステータスを重視する人は、ポイントなんか気にしてはいけない。そんなことはないだろうが。
アメックスのポイントは、最も基本的な使い方(利用代金に充当)の場合、1ポイントにつき0.3円である。
1ポイントは、100円利用につき付与される。
だから、100円利用につき0.3円しかポイントが貯まらない(ポイント還元率0.3%)。これは業界でもほぼワーストの数字。
キャッシュバックに関しては、この程度の還元率しか出ないカードは他にもある。ただ、そうしたカードの場合、だいたい金券との交換なら0.5%程度にはなるのだ。
アメックスの基本還元率は、リクルートカードの実に4分の1だ。リクルートカードは年会費無料だし。
これより低いのは、ACマスターカードの0.25%のキャッシュバックぐらいだろう。
年間3,300円(税込)払って、メンバーシップ・リワード・プラスに入れば、1ポイントにつき0.5円にすることができる。
高い年会費に費用を上乗せしてようやく、銀行系クレジットカードの水準に並ぶ。
ANAのマイルにするなら、アメックスも決して悪くはない。メンバーシップ・リワード・プラスに加入すると、1ポイント1マイルで移行ができる。
マイルが目的なら、別に悪くはない。
だが、マイル以外のポイント活用については、非常に不満が残るところである。
アメックスのキャッシングは?
不可。キャッシング枠がない。
以前はあったが、廃止されている。
まあ確かに、クレジットカードでキャッシングするような人は顧客にいらないかもしれない。
でも、海外キャッシングは、現地通貨を安く引き出すいい方法なのだ。
現地通貨が作れないメインのカードというのはどうなのか。
というわけで、私がプロパーアメックスを持つことはないだろう。
正直、年会費の高いだけのカードだと思う。